今回は、日本で働くうえで、避けては通れない「面接」の対策についてお話します。
この記事では具体的な質問内容を上げ、知っておくべきポイント、気を付けるべきこと、について、これまで数百人のベトナム人面接に関わってきた私から、「日本人の目線」からアドバイスしたいと思います。
まず、みなさんにお伝えしたいのは、日系企業の面接官は「履歴書」をしっかり見ていない、というところです。ベトナムの地名、大学名、会社名、どれを読んでも「知らない情報がたくさん書いてある紙」、としか思っていないかもしれません。
それだけ、面接の印象が大切であるということは、意識してください。履歴書が完ぺきで、すべて理解してもらえるだろうと思ったら、それは違います。1日に何十人の面接をする面接官に対して、どのようにアピールできるか、考えましょう。
面接で聞かれる質問
自己紹介をお願いします。
名前、年齢、出身(国籍)、最終学歴
- この回答は30秒程度で話します。
- まず、あなたの基本情報を伝えます。
- 大学名と、専攻学科も忘れずに伝えます。
- 日本語能力試験の資格がある人はここで伝えても良いです。
良くない例
✖「私はグエン・ニャットバンです。1991年生まれです。
ゲーアン省から来ました。ニャットバン大学にいました。日本語を使って仕事をしています。」
正しい伝え方
- 「私はグエン・ニャットバンと申します」
- 「今年で28才です」(西暦で伝えないこと)
- 「ベトナム北中部のゲーアン省出身です」(”ゲーアン省”だけでは伝わらない)
- 「ニャットバン大学で日本語を専攻していました」(専攻学科を伝える)
- 「2018年に日本語能力試験のN2を取得しました。」
職務経歴、PRしたいスキル、志望動機
- この回答は1分以内に話します。
- 職歴はこれまでの会社名、仕事を全て説明する必要はありません。
- 職歴は応募した企業での仕事に共通するものを優先に話します。
- 何年勤続したか、日本語使用経験があるか、このあたりは魅力になります。
- 志望動機は自己紹介の最後に、終わったら「以上です、よろしくお願いします」と伝えます。
- 志望動機は「御社の〇〇に関心があり」「御社で私の△△の経験が活かせます」と具体的な理由を伝えます。
- 志望動機を考えるために、企業のホームページを見ることは必須です。
良くない例
✖「私は大学を卒業して、A社に入社しました。ここでは事務をやりました。B社では事務と経理をやりました。C社では貿易事務です。事務が好きです。御社で働きたいです。お願いします。」
正しい伝え方
- 「A社では事務のポジションとして、経費精算、発注書の管理、日本人のお客様の電話対応を主な業務としていました。」(具体的な業務説明をする)
- 「A社勤務から3年後、さらにスキルの幅を広げたいと考え、B社に転職し、事務ポジションに加え、秘書業務を経験しました。」(転職理由とキャリアの成長をアピール)
- 「これまでの事務経験を活かし、御社で貿易事務の知識を習得し、貢献したいと思い、応募しました。」(なぜ企業があなたを採用するメリットがあるのか、企業でどのような経験を得たいかを伝える)
志望動機を教えてください。
志望動機
はじめの自己紹介で志望動機を話したあとも、志望動機について、もう一度説明を求められることがあります。これは、企業のサービス、応募ポジションのミッションなどを、どれだけ理解しているか確認をするためです。
- 企業の情報は、パンフレットやホームページを見て詳しく知ります。(設立日、組織体制(従業員数)、サービス特徴、CSR活動、社員の声)
- 志望動機は「あなたを採用したら、会社にどのような利益があるか」この点を必ず伝えます。
良くない例
✖「私は日本で働きたいです。御社に入ったら、仕事をがんばります。私は事務の仕事が好きです。」
正しい伝え方
- 「設立から50年の歴史があり、1000名以上の社員が活躍し、日本社会に貢献している御社の事業に興味を持ちました。」
- 「とくに業界ではトップクラスの技術を持つ〇〇事業に興味があります」
- 「また、御社の海外事業にも興味があり、外国人社員として、私が貢献できると考えます。」
- 「これまでの事務経験を活かし、御社で貿易事務の知識を習得し、貢献したいと思い、応募しました。」(仕事は「好き/きらい」で表現しない)
多くの就活生は、たくさんの企業を受けるため、1社ずつ、細かい情報を調べることはしないはずです。他の就活生と差をつけるためには、「企業研究」を徹底しましょう。
志望動機は、「その理由なら他の会社でもいいんじゃない?」という質問が来ることを考えて、あなたにとって、「どうしてその会社でなくてはならないのか」というところを自問自答しながら考えましょう。
サービスの特徴に差がつきにくい会社が多いですが、たとえばCSR活動(ボランティア活動)やホームページに掲載される「社員の声」には、その会社の「特徴が表れやすい」ですから調べてみてください。
まとめ
面接対策、第1回目は「自己紹介」について、アドバイスをしました。
以下まとめです。
- 自己紹介は1分以内に短く話せるように練習する。
- 自分のアピールしたい経験、スキル、語学力をわかりやすく話す。
- 志望動機は「企業にとって、どんな採用のメリットがあるか」伝える。
- 企業研究を行い、会社への興味を伝え、他の就活生と差をつける。
面接対策として、レコーダーやビデオカメラを使って、面接練習することをおススメします。あなたの口癖、動き、表情など、普段気づかないうちに、相手に違和感を与えているものがあるかもしれません。
日本には「なくて、7クセ、あって、48クセ」ということわざがあり、人はだれしも「クセ」を持っていると言われています。少し恥ずかしいことですが、自分の「クセ」を知れば、面接以外のコミュニケーションにも役に立つはずです。
日本には「練習はウソをつかない」ということばもあります。練習すればするほど、それに見合った結果が生まれる、という意味です。ぜひ、面接練習に時間をかけてみてください。
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日本企業の面接対策②-職務経歴・転職理由-
日本企業の面接対策③―人物評価―
日本企業の面接対策④―入社条件―
日本企業の面接対策⑤-応用編-
面接に関する基礎的な情報はこちらの別記事:日系企業のインタビュー経験
履歴書の書き方に関する情報は、別記事:履歴書の書き方について