日本企業の面接対策③―人物評価―

日本企業の面接対策③―人物評価―

このシリーズでは、日本で働くうえで、避けては通れない「面接」の対策についてお話します。第3回目は、あなたの性格や人柄をみる「人物評価」について、です。

シリーズの別記事:
日本企業の面接対策①―自己紹介編-
日本企業の面接対策②-職務経歴・転職理由-
日本企業の面接対策④―入社条件―
日本企業の面接対策⑤-応用編-

(その他)
面接に関する基礎的な情報はこちらの別記事:日系企業のインタビュー経験
履歴書の書き方に関する情報は、別記事:履歴書の書き方について

この記事では具体的な質問内容を上げ、知っておくべきポイント、気を付けるべきこと、について、これまで数百人のベトナム人面接に関わってきた私から、「日本人の目線」からアドバイスしたいと思います。

面接で聞かれる質問

これまでで一番楽しかった仕事、辛かった仕事は何ですか

  • あなたの成功体験とそこまでのプロセスについて答えます。
  • 成功や、失敗や苦労から学んだことについて答えます。
  • 「苦労した話」と「どのように乗り越えたか」という答えは評価されます。
  • 答えの中には、「問題解決能力」をアピールできるようにします。

良くない例

✖「総務の仕事が一番たのしかったです。電話対応が大変でした。」


正しい伝え方

「総務の仕事で、社内から頼られることが仕事のやりがいでした。〇〇のことなら、みなさん私に聞く、という信頼が得られ、周囲から頼られるようになりました。こうした環境で働くことができて、毎日仕事を楽しんでいました

電話対応に苦労しました。はじめは、電話の相手が話していることが聞き取れないときもあり、毎日緊張していました。そこで、メモを作り、電話のそばに置いておくことで、落ち着いて会話をするように心がけました。今では自信がつき、得意になりました。」


仕事や人生において、大切にしているものは何ですか

  • あなたの人間性、ビジネススキルをアピールできるチャンスです。
  • あなたの国の文化、商習慣と違う日本の職場環境で、順応できるか伝える大切な質問です。
  • お金(給料)や家族という答えは、あなたの魅力を十分に伝えられません。
  • 日本人に響くことばを取り込むことで、あなたの印象を良くします。
  • 「法令順守」「時間厳守」「謙虚さ」「協調性」「自己内省能力」このあたりが日本の商習慣において大切です。

良くない例

✖「家族です。家族を幸せにするために、お金を稼ぐことは大切ですから仕事を探しています」

これは、あなたが大切にすべき「答え」ですが、面接の場で答える内容として、検討する必要があります。あなたの答えが、これのみ、ですと好印象ではありません。このほかにも答えを話した中で、この答えを話すことは問題ありません。


正しい伝え方

〇「時間を守り、期日を守ることです。これまでの仕事の経験から、日本のビジネスにおいても、またプライベートにおいても、最も大切なことの一つと学びました。」

〇「他人の意見をていねいに聞くことです。社内、社外の対人関係において、早とちりをしてしまったり、聞き流してしまうことがないように、メモを取りながら話を聞きます。」

〇「自己評価をすることです。仕事に慣れると、自己流になってしまい、ミスや気づかぬ間違いを起こしていました。こうしたときに、周りの意見を聞きながら、常に100%の仕事ができるように、月に1回、自分の業務を振り返り、反省点をまとめています。」


これからの目標を教えてください。

  • 企業が注目する点は、あなたの「向上心」と「目標の具体性」です。
  • 応募した企業で実現できること、その先に設定する目標を明確にします。
  • どの業種・職種においても、「日本語力向上」という目標は高評価につながります。

良くない例

✖「ベトナムに帰って家を買います。
✖「日本にずっと住みます。」

素晴らしい目標ですが、こちらも面接で答えるべき内容か考える必要があります。日本にずっと住む→「ビザのことはどうするつもりなのか・・・」、と疑問を与えてしまいます。


正しい伝え方

〇「日本の仕事の経験を活かして、10年後にはベトナムで事業を起こしたい。」
〇「長く日本で働き、日本とベトナムを行き来するような人材になりたい。」
〇「御社で学んだスキルを活かして、海外拠点との懸け橋になりたい。」
〇「日本語をマスターして、ビジネスレベルで日本語を使えるようになりたい。」

いつまでに、どこで、何をしているか
この点が答えのキーワードになります。


あなたの強みと弱みは何ですか。

  • 「強み」が3割、残り7割は「弱み」について話すことがおススメです。
  • 「弱み」は、「改善」「克服」するための、「努力」を示すことが必要です。
  • 「弱み」→「改善点」→「実行」→「結果」のプロセスで話します。
  • 「自己分析能力」をはかる、大切な質問です。

良くない例

「私は明るい性格が強みです。弱みは心配症なところです。」

(面接官が持つ疑問)
明るい性格・・・仕事にどんな良い影響をもたらすのか。
心配症・・・・・その弱みをどのように克服するのか。


正しい伝え方

「私は明るい性格だと言われます。私が入社してから会社の雰囲気が良くなった。とどこの会社でも言われました。これは、私がだれに対しても差別なく、話すことができるからだと思います。社内外でよく相談にのってほしい、と頼まれることも多いです。」

私は昔から心配性の性格がありその点が弱みだと思っています。資料作成などにおいては、何度も内容を確認し、レポートします。しかし、上司からは心配性だからこそ、注意深くミスのない仕事ができると評価され、今まで弱みだと思っていましたが、今後は強みに変えられるよう努力します。


周りからどんな人だと言われますか。

  • こちらも「自己分析能力」をはかる質問です。
  • あなたの「客観的視点」からみた「自己評価」を答えます。
  • ビジネススキルの評価につながる答えが必要です。
  • 「どうして、そのような印象を持たれるか」具体例の話が必要です。

良くない例

  • 「面白い人だと言われます。」
  • 「一緒にいて楽しい、と言われます。」
  • 「真面目だと言われます。」

面接は、「お見合い」ではないので、こうした答えは、アピールとして不十分です。しかし、このような答えをする人は、これまでたくさんいました。


正しい伝え方

〇「リーダーに向いている、と言われます。昔からスポーツや学校のクラスではリーダーの役を任されることが多く、仕事においても、チームを取りまとめる役割をすすんで引き受けました。

〇「気配りが上手だと言われます。人が気づかないようなことに、良く気づきます。この性格から”今何が足りていないのか”、”上司は何を求めているのか”、いつも気を配りながら仕事をしています。

〇「ムードメーカーだと言われます。家族や友人、会社の人から、「あなたがいると周りが明るくなる」と言われます。仲間が落ち込んだりしていたときに、励まし合ったりすることが好きで、後輩からよく相談を受けることもありました。」


どんなときにストレスを感じますか?

  • ストレスの原因が自分ではなく、「他」にある回答は良くありません。
  • 「ストレスは感じません」という回答は良くありません。
  • ストレスを解消する方法をしっかりと持っておきます。

良くない例

  • 「ストレスは感じませんので、大丈夫です。」
  • 「道が混んでいるときに、ストレスを感じます。」
  • 「忙し時にストレスを感じます。」

「ストレスを感じない」人間はいませんので、この回答は、本当のことを話すことから「逃げている」とマイナス評価をされます。

また、「道が混んでいるとき」、「仕事が遅い人といるとき」、「話が長い上司といるとき」など、自分以外の人やものに原因があるストレスは、「マイナス評価」となります。

これは、「うちの会社でもストレスが起きてしまうのでは・・・」という心配をかけることになるからです。難しい質問ですが、以下のような答え方があります。


たとえば・・こんな答え方があります。

〇「私は仕事でミスをしたときに、ストレスを感じます。昔から、どうして自分はミスをしたんだ、と責めることが多かったですが、社会人になってからは、どうしたら改善するかを前向きに感がえるようになりました。」

〇「私は人間関係や、仕事に悩むときにストレスを感じます。しかし、一日を終えて、家族と話をすることで、ストレスは減り、一晩寝るとリフレッシュできる性格なので、ストレスとうまく向き合っています。」


まとめ

日本企業の面接対策、第3回目は「人物評価」に関する質問、についてアドバイスしました。以下まとめです。

  • 質問の答えには全て、仕事に関連し、魅力として伝わる話が必要です。
  • 論理的に、簡潔に、具体的なエピソードが必要となります。
  • あなたが答えた内容に対し、さらに詳しく聞く質問が、続くことを想定します。
  • 「自己分析」を日頃から行い、「あなた」を説明できるようにします。

面接対策の記事はこのほかにも続きます・・・・