日本の社会問題~人材不足~

日本の社会問題~人材不足~

今回は「日本の人材不足じんざいぶそく」について、お話をします。 日本でがんばっている外国人の方に関わることです。日本社会がどのような問題をかかえているか、みなさんに知ってもらいたいと思います。

日本の人材不足とは

日本では20年ほど前から「少子高齢化しょうしこうれいか」が社会の問題になっていました。少子高齢化とは、65才以上の人が増えて、その分、子どもの人数が少なくなること、をいいます。
働く人が少なくなると、さまざまなところで「人材不足」が、おきてしまいます。
たとえば、65才以上の高齢者こうれいしゃが通う、病院や、老人ろうじんホーム、みなさんも通う、スーパーやレストラン、こどもたちが通う、学校、幼稚園ようちえんでも、働く人が不足しています。

どんな仕事で人が足りないのか

人材不足がおきてしまうのは「力が必要で、大変な仕事」が多いです。たとえば、身体が不自由な人をサポートする介護かいごの仕事、重たいものを持ち、家やビルを作る建設けんせつの仕事、深夜しんやに働くお仕事です。
※ 「介護 」に関する記事はこちら日本の「介護」について

これらの仕事は力が必要で、ときにはケガをするかもしれません。このような仕事は、とても大変ですが、社会を支えるとても大切なお仕事です。でも、若い人が少なくなっている日本では、こうしたお仕事が出来る人も少なくなっているのです。

日本の平均年齢

皆さんはベトナムの平均年齢 へいきんねんれい を知っていますか? 国連の調査によるとベトナムの平均年齢は30才、と言われています。これに対して、日本厚生労働省こうせいろうどうしょうのデータによると、日本の平均年齢は約46才です。ちなみに、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性は約87歳です 。

つまり日本では、若くて、力がある労働者の人数が、少なくなってきているのです。こうしたことから、日本の人材不足は社会問題となっています。かなしいことに、働きたいと思う人が少ない分野の仕事では、そのお仕事をしている人が休めずに働きすぎてしまい、身体をこわしてしまう、ストレスで亡(な)くなってしまうこともあります。

日本社会が抱えるもうひとつの問題

ここでひとつのギモンです。日本には働く人が本当にいないのでしょうか。
日本の総務省そうむしょうによると完全失業者かんぜんしつぎょうしゃ ( 働きたいがあるけれど、仕事をしていない人)は約176万人、ニート(NEET): Not in Education, Employment or Training(学校や仕事に行かない15~34才の人)は約70万人ほど、いると言われています。

この数字から、「日本には働ける人がいるのか」と思うかもしれません。しかしこの人たちの中には、病気を理由に働くチャンスがもらえない人もいます。こうした人たちが働ける社会をつくることも日本のテーマのひとつです。

8050問題とは

仕事をしない人たちの理由には、心の病気、子どものころのいじめ、不登校ふとうこう(学校に行かないこと)があります。こうした人たちが、仕事をはじめられる、心のリハビリができる社会をつくることも大切です。

これらの人たちは、大人になっても両親りょうしん家族かぞくといっしょに生活しているケースが多く、もし親が亡くなってしまったときに、そのあとどう生活していくのか、問題になっています。

この、 80才の親が50才の子供の生活を支えることを、8050問題(はちまるごうまる)と呼びます。 これがいま、日本の社会問題のひとつとなっているのです。

日本社会を救う外国人人材の将来

日本はいま、人材不足の問題を外国人の方が支えてくれる社会に、なりつつあります。このことに日本の人はとても「ありがとう」と思っています。

日本の人はいま、「人が足りないから働いてほしい」という理由だけでなく、皆さんが自分の技術ぎじゅつを力につけて、次の世代せだいに伝え、それぞれの国に持ち帰って広めてほしい、良い社会を作ってほしい、と強く思っています。

みなさんが日本で働くうえで、こうした日本社会の「いま」があることをぜひ知っておいてください。