近年、日本人と外国人の国際結婚の割合が増加しています。日本の政府統計ポータルサイト「e-Stat」の「夫妻の国籍別にみた年次別婚姻件数・百分率」によると、日本国内における2019年の婚姻件数は599,007件で、2013年に比べて婚姻件数が約6万件減少しています。一方、2019年の日本人と外国人との婚姻件数は21,919件で、2013年から約500件増加しており、全体の結婚件数に占める国際結婚の割合が高まっています。
今回は、日本国内で日本人と外国人との国際結婚を行う際に必要な配偶者ビザの取得について重要なポイントを徹底解説します。
配偶者ビザとは
配偶者ビザは、日本人の配偶者が外国籍である場合に必要となるビザです。配偶者ビザを持つことで、外国人配偶者は日本での就労に制限なく、教育機関への通学も自由に行えるなど、在留活動の幅が広がります。また、配偶者ビザの申請は日本国内外問わず行えます。配偶者ビザを取得すると、永住権や帰化申請時に在留期間の短縮特例を受けられるメリットもあります。
配偶者ビザ取得の流れ
配偶者ビザの申請手順は、配偶者が日本国内に居住している場合と海外に居住している場合で異なります。
配偶者が日本に居住している場合
外国人配偶者が留学や就労などの在留資格をすでに持っている場合、「在留資格変更許可申請」の提出が必要です。まず、外国人配偶者本人またはその代理人(行政書士、弁護士、または同居の親族)が、居住地を管轄する出入国在留管理局に配偶者ビザの申請を行います。申請結果は2週間から1ヵ月程度で申請者の自宅に通知ハガキが送られます。
配偶者ビザの申請が承認された場合、申請者は再度出入国在留管理局を訪れ、新しい在留カードを受け取ります。短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更を行う場合には、日本人配偶者の居住地にある役場で住民登録が必要です。
配偶者が海外に居住している場合
配偶者が海外に居住している場合、「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。この手続きは、海外にいる配偶者を日本に呼び寄せるためのもので、日本に居住する配偶者またはその代理人 (行政書士、弁護士、または同居の親族) が出入国在留管理局に申請します。 在留資格認定証明書交付の審査は、1ヵ月~3ヵ月程度かかることが一般的です。
審査終了後、在留資格認定証明書が交付された場合、日本にいる配偶者または代理人は、この証明書を海外に居住する配偶者に郵送します。証明書を受け取った配偶者は、居住地の在外日本大使館または領事館でビザの申請を行います。在留資格認定証明書には有効期限が設定されており、交付から3カ月以内にビザの申請を行う必要がありますので、有効期限内に手続きを完了させることが重要です。
ビザが無事に交付された場合、ビザの交付日から3カ月以内に日本への入国が必要です。入国時に上陸審査を受け、問題がなければ、到着した空港で在留カードが発行されます。
配偶者ビザ申請時に満たすべき条件
配偶者ビザの申請時に満たすべき条件は以下の通りです。
法律上の結婚をしていること
婚約状態や事実婚では配偶者ビザは申請できません。法律上の結婚をしていることが求められます。国際結婚の場合、結婚が両国で認められたことを証明するために、戸籍謄本や外国側の婚姻届証明書の提出が必要です。ただし、日本での婚姻届提出後、婚姻届が不要な国もあるため、届出の必要性の有無を確認することを推奨します。
配偶者との関係性の証明
申請者は、結婚に実体が伴っていること、偽装結婚でないことを書類や記録を通じて証明する必要があります。配偶者ビザの審査においては、実際に会った回数が少ない、交際期間が短い、年齢差が大きい、出会い系サイトや結婚紹介所を通じた出会い、夫婦間でのコミュニケーションが困難、共通の写真が少ないといった場合、夫婦関係の信憑性が疑われることがあります。そのため、一定期間の交際を経て結婚したこと、交際期間中の写真やメッセージの記録、両家族や友人への結婚報告、日常会話がスムーズであることなどが結婚の実態を示す有効な証拠となります。
また、日本にすでに居住している外国人配偶者の場合、同居または同居予定であることの証明も重要です。単身用住宅でないこと、住民票上の住所が夫婦で同一であることなどを証拠として提示することで、結婚の実体をアピールできます。
経済的な基盤
夫婦二人で十分生活できるような安定した世帯収入の証明も不可欠です。給与所得だけでなく、事業所得、不動産所得、預貯金、年金なども収入源として考慮され、収入の安定性や継続性を示す必要があります。配偶者ビザの申請には、日本人配偶者が身元保証人になるため、無職や低収入であると、経済的基盤が不十分と判断され、ビザの交付が困難となる可能性があります。
過去の在留状況
外国人配偶者の日本での過去の在留状況が厳しくチェックされます。具体的には、過去にオーバーステイや犯罪歴、不法残留、不法入国、退学、除籍の経験、資格外活動の違反、外国人スナックでの就労などがあると、配偶者ビザが不許可になるリスクが高まります。
配偶者ビザ取得に必要な書類
外国人配偶者が準備する書類 | 配偶者が海外在住 | 配偶者が日本在住 |
在留資格変更許可申請書 | 〇 | |
在留資格認定証明書交付申請書 | 〇 | |
質問書 | 〇 | 〇 |
スナップ写真 | 〇 | 〇 |
SNS/通話記録を印刷したの | 〇 | 〇 |
証明写真(4cm×3cm) | 〇 | 〇 |
外国人配偶者の国籍国機関で発行された結婚証明書または戸籍謄本 | 〇 | 〇 |
パスポート | 〇 | |
在留カード | 〇 |
日本人配偶者が準備する書類 | 配偶者が海外在住 | 配偶者が日本在住 |
戸籍謄本 | 〇 | 〇 |
住民票 | 〇 | 〇 |
住民税の課税証明書・納税証明書 | 〇 | 〇 |
通帳の写しや在職証明書 | 〇 | 〇 |
身元保証書 | 〇 | 〇 |
詳細や各種申請書類は、出入国在留管理庁「在留資格 『日本人の配偶者等』」から確認してください。
まとめ
今回は、日本で国際結婚するために必要な配偶者ビザの取得のポイントを紹介しました。配偶者ビザの取得には法律上の結婚を証明するだけではなく、夫婦関係の実体を写真や連絡記録、交際期間、スムーズなコミュニケーションがとれるかなど、多角的な審査をクリアする必要があります。ぜひ本記事を参考にして、配偶者ビザを取得し、日本での新たな結婚生活をスタートさせましょう。
日本での永住を検討している人は、以下の記事を参照してください。
「永住は帰化より難しい⁉ 外国人向け日本永住権を徹底解説」