今回は、ビジネスにおいて、大切な「心構え」のひとつ、「自己評価」についてお話します。
自己評価とは
社会人1年目は、緊張と不安で、さまざまなプレッシャーの中で働く人も多いと思います。はじめのうちは、「自分は上司や周りの先輩から、どう評価されているのか」気になりますよね。
しかし、時間が経つにつれ、自分自身に対する「自己評価」に集中してしまい、上司や他人からの評価を気にかけるチャンスは少なくなってしまいます。
一般的に、仕事で評価されない人は、「自己評価」ばかりしてしまう人で、他人からみた自分の評価、「他己評価」を気にしない人です。
他己評価とは
「自己評価」に対して、他人があなたを評価することを、「他己評価」といいます。
「他己評価」の中には、あなたが「すでに知っていること」、たとえば、
- 時間を守って仕事ができる
- 報連相がしっかりできる
- 営業に向いている性格
ということに対し、あなたが今まで「気づかなかったこと」、
- 朝、元気がなく、あいさつの声が小さい。
- 相手の話の途中で遮り話し始めてしまう。
- 営業に向いている性格だが、敬語ができていない。
- 細やかな気遣いができるので、営業ではなく秘書や総務に向いている。
という2つのタイプがあります。この後者の「評価」を知る機会を作ることは、とても大切です。
人事研修
こうした「自己評価」と「他己評価」を振り返るために、私は新卒で入社した日本企業で、定期的な人事研修を受けました。
評価方法としては、100項目以上の「評価基準」の中で「自己評価」し、また、上司からも「他己評価」してもらい、それらがデータ化されました。
- 時間通りの行動ができる (1・・2・・3・・4・・5)
- 論理的に説明できる (1・・2・・3・・4・・5)
- 臨機応変に行動できる (1・・2・・3・・4・・5)
- 組織の課題を理解している(1・・2・・3・・4・・5)
- 目標を持ち業務に取り組む(1・・2・・3・・4・・5)
こうした評価項目を、5段階評価で「自己評価」し、同じ評価項目を自分の上司や先輩が「他己評価」します。
ここでは、「自己評価」と「他己評価」の「差」を知ることが最大の目的です。
たとえば、あなたがすべての項目を「良くできている」と評価しても、あなたの上司は「全くできていない」と評価することはあります。研修の中で、はじめてデータとして上司の「他己評価」を見るので、かなりショックを受けることもあるでしょう。
親しい人と評価しあう
私は新卒で入社した会社で、新人研修において、同期で入社した同じ歳の社員たちと、普段は言えない「相手への評価」を共有し合う時間がありました。
「相手の良いところ」と「相手の良くないところ」を紙に書いて、同期50人から「匿名」で評価をもらいました。そのとき私が教えてもらった評価は次の通りです。
良いところ
- リーダーとして、まとめる力がある。
- 相手の事情を理解して行動ができる。
- コミュニケーション力が高い。
悪いところ
- 人の話を最後まで聞かない時がある。
- 急によく話すようになったり、無口になったりする。
- 「自分にできること」が「相手にもできること」だと思っている。
「良いところ」の評価は、私の「自己評価」とほとんど同じでしたが、「悪いところ」は気づかないことがたくさんありました。
とくに3.については、これまでの人生で全く気付かなかった私の「悪いところ」だったのです。このことをすごく反省し、私は同期の社員から、この評価について詳しく聞きました。
すると、「あなたは器用だから、色々なことができるけど、相手に同じレベルのものを求めている」と言われました。これはつまり、「あなたはサッカー、野球、テニス、卓球など色んなスポーツができるけど、あなたの友だちにも同じことができると信じている、決めつけている。」ということでした。
たしかに、今までの人生で、「何であの人は、これがわからないのだろう」「何であの子は、こんな簡単なことができないんだろう」と思うことがあったな、と振り返りました。
自分にとっての「あたりまえ」は、相手にとっても「あたりまえ」ではないことを気づいた瞬間でした。
気を付けたいこと
みなさんが社会人になったときに、こうした「自己評価」と「他己評価」をする時間がないほど、忙しく仕事をする人も多いかもしれません。
しかし、「自己評価」ばかりで仕事をしていては、あなたの成長の機会が失われるかもしれません。
特に、「私は仕事ができる」と自己評価する人は、本当にそうなのかどうか、上司と時間を作って「他己評価」してもらうことを提案すると良いでしょう。
この世の中には、悪いところがない「完璧な人」などいません。
人間は誰しも、「良いところ」と「悪いところ」を持っています。
自分の「悪いところ」を知ることは、プライドが傷ついたり、ショックを受けることもありますが、それを成長につなげましょう。
まとめ
「他己評価」をしてもらうためには、まず、次のようなアクションを起こしましょう。
- 親しい友人から聞く
- 親しい会社の先輩から休み時間などに聞く
- OJT(教育係)や上司に相談する。
このときには、あらかじめ、「自己評価」(自分の良いところ・悪いところ)をリストにして用意しておくと良いでしょう。その自己評価に対して、良いフィードバックをもらえば、自分自身の自信につながるはずです。
特に国籍が違う人同士であれば、「気づかなかったこと」はたくさんあるはずです。
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