このシリーズでは、日本のビジネスシーンで良く耳にする「日本語」の解説をします。日本で働き始めるときは、緊張と不安があると思いますが、1つでも多くの日本語を知っていることで、自信につながると思います。
日本人の私から、みなさんに知っておいてほしい「単語」をまとめましたので、意味を理解しておきましょう。
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ①~基本編~
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ③~カタカナ基本編~
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ④~カタカナ上級編~
日本語はよく、「省略」した言葉が使われることが多く、これらは日本人の新卒でさえ知らないことも多いです。今回は基本編よりも難しい日本語を紹介します。
ビジネスシーンで耳にする日本語
上級レベルの単語
育休・産休
育児休暇・・子育てをするために労働者が取得できる休暇
産前休暇・・出産前の労働者が取得できる休暇
この他にも、時短(時間短縮で働く)はよく使われます。
例:「Aさんは来月から育休/産休に入るので、私がAさんの代わりに対応します。」
例:「Bさんは時短勤務なので、夕方16時は退社します。」
いかんせん
残念ながら。40~60歳代の日本人がよく使います。
例:「早く家に帰りたいのだが、いかんせん残業が終わらない。」
例:「新しいゲーム機を購入したいが、いかんせん高すぎて買えない。」
いい感じにする
これは、日本人同士でも困ることばです。このことばには、「もっと改善してください」というニュアンスが含まれており、あなたのレポートしたものでは、不足しているということです。
これは私が日本で社会人を経験する中で一番苦しめられたことばです。「いい感じ」がどのようなものか、は上司と長い時間をかけて一緒に仕事をすることで見えてきます。
例:「この営業資料分かりにくいなぁ。もっといい感じに仕上げてよ。」
エンドユーザー
様々な業界にある流通経路のうち、最終的に「商品を使う人」のこと。
例えば「粉ミルクを作る会社」にとって、「エンドユーザー」は粉ミルクを買う母親、ではなく、それを飲む「子ども」です。この場合、「栄養価」を気にする母親と、「味の良い・悪い」「パッケージのかわいさ」を気にする子どもに対しては、マーケティング上のターゲットが変わります。
各流通経路のエンドユーザーを知ることは大切です。
口酸っぱく言う
何度も繰り返して言うこと。
例:「二度と同じ失敗をしないよう、私から口酸っぱく社員に注意しました。」
蛇腹折り
扇子を作るように折ることを「蛇腹折り」と言います。A3やB4用紙など、大きいサイズの資料を「蛇腹折り」するよう指示されることがあります。
宿題
「学校で先生から出されるもの」ではなく、顧客から受けたリクエストなどを自社に持ち帰り、後日報告すること。
例:「本件は、弊社の宿題として、一度持ち帰らせていただきます。」
そもそも論
議論していることを、一度原点に戻して考えること。はじめから考え直し、その必要性や意義について確認するときに使われることば。高圧的に聞こえるので、目上の人には使わない方がよいでしょう。
例:「そもそも論だけど、このサービスは誰に向けて作ったものなの?」
飛び込み
訪問先にアポイントメントを取らずに営業訪問すること。
企業によっては、営業を固く禁止しているところもあるので、節度を持った営業活動を心がける必要があります。
ヒヤリハット
大きな事故にならないものの、事故につながりかねない事例のこと。
「ヒヤリ」・・・冷や汗をかく、危ない目にあう
「ハット」・・・ことばを失い驚く
「ヒヤリハット報告」とは、仕事中に起きた「事故になるかもしれない」事例を報告するものです。
例:「非常口のドアを開けたら、人が座っていて、扉でぶつけるところだった」
例:「工場で操作ボタンを押し間違えて、ケガをするところだった」
はしょる
短く、省略すること。
例:「時間が残り少ないので、はしょりながら話します。」
泣く
諦めること。不本意ながら、相手の条件を受け入れること。
例:「これ以上値下げしたら、当社が赤字になるが、ここはうちが泣くしかない」
飲む
言いなりになる、条件などを受け入れること。ネガティブなニュアンスが強い。
例:「本当はしたくないが、今回はA社の条件を、うちが飲みます。」
なるはや
「なるべく早く」の省略。若者言葉のニュアンスが強いため、ビジネスシーンではつかわないことをおすすめ。ただし、このことばを使う日本人は20~30才代を中心に多い。
例:「昨日質問した件、なるはやで回答をお願いします。」
ネックになる
ものごとがうまくいかない原因になりうるもの、こと。進行を妨げる「###障壁(しょうへき)###」となること。
例:「彼のリーダーシップ力が不足していることが、組織のネックになっている。」
例:「海外拠点の納品が毎月遅れているようでは、当社事業のネックになりそうだ。」
ボールは誰がもっている?
「ボール」=「担当・役割」のこと。
2者間以上の議論・進行プロセスにおいて、次の言動を行う人、企業を指す。日本では会話を「野球」のキャッチボールに例えて表現します。
例:「A社との新サービスの件、ボールはA社が持っているから、うちは提案を待とう」
例:「この件はいま、誰がボール持ってるの?」
投げる
自分が持っているタスクを、第3者の誰かに渡すこと。振り分けること。
例:「マーケティング分析はA社に頼むから、その仕事はA社にそのまま投げてください。」
例:「新人のグエンさんに仕事を投げた私の責任です。」
まえかぶ/あとかぶ
会社名には、①「株式会社〇〇」②「〇〇株式会社」の2つの順番があります。
①は「前(株)」、②は「後(株)」です。 「株式会社」を省略して、「(株)」と表現することがあります。 ただし、相手企業の会社名を(株)で書くことは失礼にあたりますので、「株式会社」と書きます。
ちなみに、名前が(株)よりも、前に来るのか、後ろに来るのか、は創業者の好み(言いやすさ)なので、何かこの順番に特別な意味を持つわけではありません。
例:「御社の名前は、まえ(株)ですか?あと(株)ですか?」
答え:「まえ(株)の、株式会社jNaviです。」
見切り発車
議論が十分に行われずに、実行すること。
例:「今度の新サービスは失敗するだろう。十分な準備期間もなく、見切り発車で会長が決めてしまったのだから。」
もんでおく
議論をする、作業に取り掛かること。
例:「この議題を明日のMTGでもんでおいてください」
焼く
CDやDVDにデータを書き込むこと。
例:「グエンさん、このファイルのデータをDVDに焼いておいてください。」
まとめ
辞書や翻訳ツールでは分からない、ビジネス日本語について紹介しました。このシリーズは4つの構成に分かれていますので、全てチェックしてみてください。
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ①~基本編~
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ③~カタカナ基本編~
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ④~カタカナ上級編~