外国語を勉強していると、「わかりにくい」ことが多いです。日本人の間では、「ベトナム語は、世界で一番難しい言語のひとつ」と話す人がいます。私自身もベトナム語の勉強に苦労をしていますし、「どうしてこうなの?」と思うことが多いです。
その国の人にとって、「あたりまえ」のことでも、外国の人にとっては難しいことがあります。
日本語を勉強する人にとって、難しいことの一つには、同音異義語、和製英語というものがあります。今回はこの二つについて、お話します。
同音異義語
同音異義語・・・同じ音で、違う意味があるもの
例:「はし」には、「お 箸」、「橋 」、「 端 」と、同じ音ですが、違う意味のことばがあります。日本語には、ベトナム語の声調などはなく、母音は5個ですから、「音」が少ないのです。
なので、聞くだけでは、どの意味か、わからないことが、たくさんあります。
※ただし日本語には「アクセント」によって、違いがわかるときもあります。
みなさんが仕事や生活で使うものを中心に、気をつけるべき、同音異義語を紹介します。
※書き方:漢字・・・「意味」
いし
石・・・「ストーン(stone)」、意志・・・「何かを目指す気持ち」、医師・・・「ドクター(Doctor)」
かき
書き・・・「ライティング(Writing)」、夏季(夏期)・・・「夏のこと、その期間」、火器・・・「火を使う道具」、 柿・・・「くだもの」、 牡蠣・・・「オイスター(oyster)」
かいそう
海藻・・・「ワカメなどの海中の食べもの」、改装・・・「建物を直すこと」、回送・・「送り直す」例:回送電車(車庫に送るため、利用者が乗ることができない電車のこと)
かいとう
回答・・・「質問に返事をすること」、解答・・・「問題やテストの答え」、解凍・・・「凍ったものを 溶 かす」「コンピューターで、ファイルをもとのサイズにもどすこと」
かてい
家庭・・・「ファミリー」、過程・・・「プロセス」、課程・・・「カリキュラム」
きかん
期間・・・「決まった日にちの間」、機関・・・「グループ、集まり」、帰還・・・「もとの場所に帰ること」、気管・・・「呼吸するときに空気が流れる体の部分」
こうい
好意・・・「親しみある気持ち」、厚意・・・「おもいやり」、更衣・・・「服を着がえる」、行為・・・「おこない、動き」
じしん
自身・・・「その人そのもの」、自信・・・「自分を信じる」、地震・・・「地面のゆれ」
しんこう
信仰・・・「信じていること、もの」、進行・・・「すすめる」、振興・・・「発展させる」、親交・・・「仲良くなる」、侵攻・・・「攻める」
しんちょう
身長・・・「背の高さ」、慎重・・・「注意深い(Carefully)」、伸長・・・「長さが伸びること」、新調・・・「(服を)新しくすること」
せんこう
専攻・・・「専門的に学ぶ」、選考・・・「いくつかの中から選ぶこと」、先行・・・「先に行く、おこなう」
どうし
動詞・・・「品詞のひとつ(Verb)」、同士・・・「おなじひと、もの」、同志・・・「同じ気持ちをもつ仲間」
どうき
同期・・・「同じときに、一緒に始めた人、仲間」「(コンピューターで)内容を同じにすること」、動機・・・「きっかけ、理由」、動悸・・・「強い、早い 心臓 の音」
こうしょう
なお、一番多い同音異義語をもつのは「こうしょう」ということば、だそうで、意味は40個以上あるそうです。ただし、みなさんが使う「こうしょう」は、交渉・・・「話し合って決める」という漢字が、ほとんどのはずです。
他の「こうしょう」は日本人でも、あまり使わないので、覚えなくても大丈夫です。
交渉・・・「話し合って決める」、公証・・・「オフィシャルに証明する」、校章・・・「学校のマーク、デザイン」、高尚・・・「上品なこと」、などなど・・
同音異義語のまとめ
いかがでしたでしょうか。日本語で話をするときには、これらのことに注意をしてみましょう。まとめとして、同音異義語に関する有名な話がありますので、みなさんに紹介します。
むかし、日本に「一休さん」という人がいました。あるところに、川を渡るための「はし」がありましたが、その「はし」の前に「このはしをわたるな!」という注意の看板がありました。
しかし一休さんは、その「はし」の真ん中を、スタスタと歩き、渡りました。それを見ていた人から、「どうして、はしを渡ったんだ。わたってはいけない、と書いてるだろう」と怒られると、一休さんは「わたしは、はしを渡ってはいませんよ」と言いました。
この文で意味が分かりましたか。一休さんは 「橋」を渡りましたが、その橋の 「 端 」 を歩かなかったので、問題ありません、と話したのでした。
「このはしをわたるな」=「端っこではなく、真ん中を歩けばよい」という風に考えたのです。
この話は作り話なので、もし日本で、「このはしをわたるな!」という看板をみたら、みなさんは絶対に「橋」の「端」でも、渡らないでくださいね。
和製英語
和製英語・・・日本人によって作られた英語に似ていることば。
日本で生活していると、日本でしか使えない「カタカナ」のことばが、たくさんあります。たとえば、「コンビニ」と言っても、英語を使う国では、通じません。
「コンビニ」は「コンビニエンスストア」ということばを、短くしたものです。日本ではこうして短く、省略することがたくさんあります。
特に英語が話せる人は、こうした和製英語を聞いて「どういう意味?」と思うときがあるはずなので、一緒に確認していきましょう。
- エアコン・・・エアーコンディショナー(Air Conditioner)
- パソコン・・・コンピューター(Personal Computer)
- ガソリンスタンド・・・ガスステーション(Gas station)
- グリーン車・・・(電車・新幹線の)ファーストクラスシート(first-class)
- コンプレックス・・・他の人より「弱い」と感じるところ
- サラリーマン・・・会社員
※日本では、会社員のことを”Salary man” =「給料の人」と呼びます。 - ペーパードライバー・・・運転免許証を持っているが、運転を全くしない人
- サービス・・・無料で行う、あげること 例:「1個サービスするね」
- マンション・・・3階以上ある、 アパートよりも大きい集合住宅のこと。
※英語の”mansion”(大きなお金持ちの家)とは意味が違います。 - コンセント・・・ 英語で”Outlet” 、電源を差すところ。
- 電子レンジ・・・英語で”microwave”のこと。
- ビニール袋・・・ 英語で”plastic bag”のこと。
- ペットボトル・・・英語で”plastic bottle”のこと。
- ガッツポーズ・・・手をあげる、喜びの姿。※この写真がガッツポーズです。
和製英語のまとめ
いかがでしたか。日本語学校で習っている人にとっては、知っているものが多かったかもしれませんが、みなさんがこれからグローバル人材になっていくうえでは、この「和製英語」というものがあることは、ぜひ、知っておいてください。
日本人は、海外旅行などで「使えると思った和製英語」が通じず、苦労することが多いです。「日本人は英語ができない」と言われるのは、しょうがないかもしれません。さて、最後に「日本人の英語力」に関するこんなジョークをご紹介します。
日本のある政治家A氏が、アメリカの「クリントン大統領」と会う前に、英語のあいさつを練習しました。A氏の英語の先生は、
A: “How are you?”
B: “I am fine thank you, and you?”
A: “Me too”
これだけ覚えるように、A氏に伝えました。
ところが、A氏はクリントン大統領に会うと”Who are you”(あなただれ?)と間違えてしまいました。クリントン大統領はジョークで、”I am Hilary’s husband”と答えました。それに対し、A氏は先生から習った通りに”Me too“と言いました。
これは、本当にあった話ではなく、ジョークとして作られましたが、日本人の英語力はこのくらいだろう、とアメリカで信じられていました。
このジョークが作られてから、20年が経ちますが、日本人はこのときに比べて、海外とコミュニケーションを取る機会がふえ、 英語力は高くなっていると思います。
日本の安倍首相も、英語でスピーチをしたり、各国の首相とコミュニケーションをとることが出来ています。
日本語を勉強するうえで、参考にしてみてください。