就労ビザは取得可能?外国人フリーランスが日本で働く方法を徹底解説

就労ビザは取得可能?外国人フリーランスが日本で働く方法を徹底解説

日本は世界トップクラスの経済規模を誇り、数多くのビジネスチャンスを提供しています。一方で、近年の円安傾向やインバウンド需要の回復により、日本で生活を楽しみながら働きたいと考える外国人フリーランスの人は多いでしょう。

しかし、外国人が日本でフリーランスとして働くためには、企業に雇用される会社員と比較して、より厳しい基準を満たす必要があります。本記事では、外国人フリーランスが日本で就労ビザを取得するための方法や条件、働く際の注意点について紹介します。

日本の就労ビザの基本

日本で長期間滞在する外国人には、何らかの在留資格が必要です。これらの中で、就労を目的とするいくつかの在留資格は一般に「就労ビザ」と呼ばれています。就労ビザには16種類があり、それぞれ特定の職業や活動に割り当てられています。例えば、技術・人文知識・国際業務ビザは、理工系技術者、IT技術者、通訳、デザイナーなどの職種の人々を対象としています。就労ビザがなければ、外国人は日本での滞在や就労が許可されません。

日本の就労ビザに関する詳細な情報を知りたい人は以下の記事がおすすめです。

日本における就労ビザを徹底解説!【種類・申請手続き】

外国人フリーランスは就労ビザ取得可能?

外国人フリーランスの就労ビザの取得は容易ではありませんが、必要な要件を満たせば可能です。フリーランスとして活動していること、および企業との長期契約を通じた収入の証明が必要です。状況や職種により異なるものの、契約先の企業がビザ申請を代行すると、個人で申請するよりも承認される可能性が高まります。外国人フリーランスを雇用する場合、企業がビザ申請を担うことで手続きがスムーズに進むことが期待されます。

外国人フリーランスによる就労ビザの取得要件

外国人フリーランスが就労ビザを取得するためには、 以下の要件を満たす必要があります。

収入

安定した収入の証明は、就労ビザ取得への重要なステップです。目安として、年間報酬総額が300万円以上が望ましいです。複数の企業と業務委託契約がある場合、これらの収入を合算し、収入源の多様性をアピールすることで、収入の安定性を示せます。年間報酬が300万円以下でも、 就労ビザの取得が不可能ではありませんが、収入がこの基準に満たない理由を詳細に説明する必要があります。

契約期間

業務委託先企業との契約期間は、1年以上の長期契約が推奨されます。契約期間が数ヶ月である場合、収入の不安定性が理由でビザの許可が下りない可能性があります。しかし、数カ月単位の契約でも継続的に更新される場合、ビザの許可が下りることもあります。短期契約を結んでいる場合は、過去の更新実績や将来の契約更新に関する条件を明記した書類の提出が求められます。

実績

フリーランスとしての収入源を証明するためには、これまでの実績をアピールすることが重要です。過去の成果物、受賞歴、保有する資格などは、客観的な証明材料となるため、これらを準備しておくことを推奨します。フリーランスとして独立する前に副業として取り組んだ実績であっても問題ありません。

最終学歴・実務経験

最終学歴や実務経験も、フリーランスとしてのビザ取得において重要な要素です。外国人フリーランスの就労ビザ取得の要件には、国内外の大学・大学院を卒業し学位を取得しているか、または日本国内の専門学校を卒業していることが求められます。

学歴がない場合でも、実務経験を証明できればビザの許可を受ける可能性があります。翻訳・通訳などの国際業務では3年以上、営業系・技術系職種では10年以上の実務経験が必要です。過去に所属していた企業から在籍証明書を取得することで、 申請時にこれらの実務経験を証明できます。

外国人フリーランスが働く際の注意点

就労ビザ取得後も留意すべき複数のポイントがあります。以下に、働く際に注意すべき4つの主なポイントを紹介します。

契約の確認

契約先とのトラブルを回避するために、契約の確認が重要です。契約書を作成し、仕事の内容、報酬、契約期間などの条件を明確にすることで、双方の合意を明確にできます。これにより、生じる可能性のあるトラブルへの対処も容易になります。また、契約書はビザの申請や更新手続きをスムーズに進めるためにも必要な要素ですので、契約先に作成を依頼することを推奨します。

確定申告

外国人フリーランスは、日本人と同様に年間の確定申告を自ら行い、適切に税金を納める必要があります。確定申告は例年2月から3月にかけての指定された期間内に行われます。日本の税制は複雑であり、特に外国人にとっては理解しづらい部分が多く存在します。税務署での相談や税理士のアドバイスを受けることで、誤った申告を防止できます。

社会保険への加入

外国人フリーランスは、自ら国民年金と国民健康保険への加入と支払いを行う必要があります。日本で会社員として働いていると、社会保険料が給与から自動的に天引きされるため、社会保険について意識する機会が少ないです。しかし、フリーランスとして独立する際は、社会保険料の手続きを自身で管理する必要があり、知らないうちに滞納するリスクもあります。社会保険の手続きは居住地の市町村役場で行えます。

入国管理局への届け出

外国人フリーランスは、契約先をすべて入国管理局に届け出る必要があります。出入国在留管理庁は、契約先の名称や所在地の変更、契約の終了、契約先がなくなった場合や新たに契約した場合について、14日以内の届出を義務づけています。届出に必要な書類は「契約先に関する届出」であり、これを怠ると在留資格更新の申請が困難になることがあるため、注意が必要です。

就労ビザ以外の選択肢

外国人フリーランスが日本で働く際には、就労ビザ以外の選択肢も存在しますが、これらは特定の条件や活動範囲に限定されます。以下では、外国人フリーランスが就労ビザ以外で働ける可能性がある2つのビザを紹介します。

特定活動ビザ

特定活動ビザは、特定の活動に特化したビザで、国際的な交流活動や日本国内での特定プロジェクトへの参加など、一般的な就労カテゴリーに含まれない活動を行う際に発行されるものです。このビザは、フリーランスが特定のプロジェクトに関わる場合に適用されることがあるものの、活動内容や期間に応じて条件が異なります。

学生ビザ

学生ビザを持つ外国人は、日本での学業と並行して、許可された範囲でアルバイトが可能です。ただし、このビザでの就労は、学業を妨げない範囲内でのみ許可され、フリーランスとしての本格的な活動を目的とするものではありません。労働時間や職種には制限があり、学校や入国管理局からの事前許可が必要となります。

デジタルノマドビザへの期待

外国人フリーランスが日本で働くためには厳しい基準を満たす必要があります。こうした中で、日本政府は海外IT企業に勤める高収入な外国人を対象に「デジタルノマドビザ」を導入することを発表しました。近年、世界中でリモートワークが普及しており、デジタルノマド人口は急激に増加しています。デジタルノマドビザの導入によって、 外国人フリーランスが6ヵ月の期間、日本での滞在が可能となります。

デジタルノマドビザの詳細を知りたい人は以下の記事を参照にしてください。

世界3,500万人が対象!日本でもデジタルノマドビザ開始

まとめ

この記事では、外国人フリーランスが日本で働くための就労ビザ取得方法や注意点を紹介しました。技術・人文知識・国際業務ビザや特定活動ビザなど、活動内容に応じた適切なビザの選択と、要件を満たすことが必要です。ビザ取得には安定した収入、企業との長期契約、実績や学歴など、証明できる書類の準備が重要です。

デジタルノマドビザの整備が進むことにより、将来的には外国人フリーランスの活動がさらに促進されることが予想されます。日本での就労を検討している外国人フリーランスの人は、今回の記事を参考にしてください。