今回は、だれもが持っているファミリーネーム、日本人の「名字」についてお話をします。
日本人の名字について
日本の名字はいくつある?
日本人の名字は約10万~30万種類あるといわれており、その正しい数は、わかっていません。
日本人はベトナムに来た時に「Nguyenさん」がたくさんいることに、とても驚きます。日本では自分と同じ名字の人に会うことは、そう多くはありません。
日本人のアイデンティティには、「名字と名前」が深くかかわり、自分の名前を大事にしているので、日本人の友だち、先輩、上司の方の名字は、間違えないように気をつけてください。
また、なかには、聞き取りにくい名前、呼びにくい名前もありますので、初めて会った時には、しっかりと名字と名前を、確認するようにしましょう。
これから名字の歴史について書きますが、名字は歴史が古く、今も研究されているため、わかっていないことも多いです。その点を理解して、読んでいただきたいと思います。
名字の誕生(たんじょう)
日本人の名字の歴史は、平安時代(794年-1185年)に誕生しました。当時は力を持っていた有名な一族(ファミリー)だけが、名字を持っていたそうです。
この時代の一番大きな一族であった「藤原」という名前は今も残っていて、さらに「藤」という漢字を使う名字の人は、この一族につながりがあるのではないか、といわれています。(例:佐藤さん、伊藤さん、遠藤さん)
名字のひろがり・なりたち
長い時代の間、名字の数はたくさん増え、これは有名な一族のみが使えるものでしたが、それ以外の人の中には、自分の好きな名字を勝手に作る人も、たくさんいました。
1870年ごろ、日本の明治時代には、国が「一般の市民の人も名字を持つ」ように決め、ここから、今の日本人の名字が、どんどんと広まっていきました。
名字のなりたちはシンプルで、たとえば川や山の近くに住んでいる人は「川」、「山」が名字に入っています。(例:川下さん、川辺さん、山下さん)
川や山の「東」、「西」の方向に住んでいる人はその方角が名字に入っています。(例:西山さん、西川さん)
名字にかんするエピソード①
日本人が名字を使っていて難しいことは、同じ名字の「読み」でも、漢字が少し違うものが多いことです。たとえば、「藤」という字を使う「さいとう」さんの漢字は、たくさんあります。
さいとう:斎藤、斉藤、齋藤、齊藤・・・
日本人でもこの違いがよくわからないので、電話で名前を聞くときに「どういう漢字ですか」と聞くことがあります。
また、このような例は「わたなべ」さんにもあります。
わたなべ: 渡辺、渡部、渡邊、渡邉・・・
名字にかんするエピソード②
どうして同じ名前で、漢字が違うのかというと、実は、「人のまちがい(ヒューマンエラー)」が理由だと言われています。
名字を役所で申請するときに、申請する人が間違えたか、受けとった役所の人が、間違えて名前を登録をしたことで、違う漢字の名字の数が増えてしまったのです。
こうした覚えにくい名字の日本人に会っても、その人たちは悪くないので責めないでくださいね。
名字にかんするエピソード③
日本人の名字で多いのは次のような名字があります。ちなみに、先ほどの「さいとう」さんは、実は日本で10番目くらいに、多い名字です。
鈴木さん、佐藤さん、高橋さん、田中さん、山田さん・・・
みなさんがすでに知っている、これから会う日本人の名字が↑にあると思います。
名字にかんするエピソード④
数が多い名字に対して、とても少ない、珍しい名字というのもありますので、いくつか紹介します。
- 一二三さん・・・・ベトナムだったら、”モッハイバーさん”?
- 世界さん・・・・・”Mr/Ms.ワールド”、かっこいいですね。
- 凸守さん・・・・あまり見ないかもしれないですが、記号のような、この「凸凹」は、日本の漢字なんです。「でこぼこ」と読みます。
- 左衛門三郎さん・・・・名字を書くだけで、名前を書くところのスペースが、無くなってしまいそうですね。
日本人の名字について、みなさん興味をもってもらえたらうれしいです。日本人の多くは、自分の名字がどのように出来たのか、知っている人は、ほとんどいませんので、名字の歴史について、紹介するテレビ番組は、とても人気です。
これから日本人の方と話をする機会があったら、名字について聞いてみてください。その人の先祖のことが、知れるかもしれません。