今回は日本の文化についてお話をします。
日本人とコミュニケーションを取ったことがある人はこんなことを思うかもしれません。「日本人は本当に心の中で考えていることがわからないなぁ」と。その謎について、考えます。
日本人の性格タイプ
日本では「本音」と「建前」という文化があります。これは「本当に思っていること」(=本音)と、「本当は思っていない(自分の気持ちではない)けれど相手に伝えること」(=建前)の違いがあります。
日本人とコミュニケーションをとるのに「難しい」ところは、次のような例があります。
日本人の建前(たてまえ)の例
- 「また遊ぼうね」と言ってくれた友だちに、1週間後、次の遊びの話をメールしたら、ずっと返事が返ってこなかった。(また遊ぼうね、は本当の気持ちではなかった)
- 友達との待ち合わせに1時間遅刻してしまい、待たせた友だちが「大丈夫だよ」と言ってくれたが、本当は、とても怒っていることがわかった。
- 新しいヘアスタイルにしたAさんが、学校に行くと、Bさんから「すごく似合っている」と言われた。しかし、Bさんは、Cさんに「Aさん、変なヘアスタイルだよね~」と悪口を言っていた。
- (ビジネスシーンで)営業したお客さんから、契約について「前向きに考えます」と言われたので、契約してくれる、と思っていたが、その後、契約しなかった。 (お客さんは本当は契約する気がなかったけど、その場で断ることをしなかった)
日本人の気持ち
日本の文化ではストレートに相手に伝えることは、良いこととは、されていません。これは相手を傷つけてはいけない、という気持ちが強くあるからです。
しかし、グローバル社会では、これが「良くないもの」とされていて、「Noと言えない日本人」と、世界から呼ばれてしまうこともあります。
こうした日本の文化は、国際社会のなかで、とくに、政治やビジネス、スポーツの世界では、とても気を付けなくてはならないことです。
もうひとつの文化、「ハイコンテクスト文化」
この本音と建前に加えて、さらに日本人の気持ちを、理解するのが難しい理由があります。それは「ハイコンテクスト文化」というものです。
これは、かんたんにいうと「言葉にしなくても伝わる文化」を意味していて、日本人の「空気を読む」文化は、これが影響しています。
つまり、日本人は「あまり多くを話さない」文化を持っている、ということです。この研究は、エドワードホールという、アメリカの学者が発表したものです。
“I love you” は日本語で?
このハイコンテクスト文化をあらわす、面白いエピソードがあります。それは日本の作家、夏目漱石【1867年-1916年】という人物が英語教師をしていたころ、
ある生徒が” I LOVE YOU ” を文字の通り「我、君を愛す(=わたしはあなたを愛しています)」と日本語に訳したところ、「日本人は好きな相手に、(ダイレクトに)そんなことは言わない」と言いました。
その代わり、夏目漱石は、”I LOVE YOU “を「月がきれいですね」と訳した、というエピソードがあります。「月がきれい」で「好き」な気持ちが伝わる、、、とても不思議な日本文化ですね。皆さんは好きな人から「月がきれいですね」と言われたら、どう感じますか。
これからたくさんの日本人と接するなかで、色々な方と会う機会があると思います。もしコミュニケーションに悩むことがあったら、日本にある、この2つの文化を思い出してみてください。
違う文化の人とコミュニケーションすることを、楽しめるといいですね。