今回は、日本でみなさんが「だまされない」ために、気をつけてほしいことをお話します。最近はSNSを使う人が増えて、色々な情報を、早く知ることが出来ます。
しかし、これらの情報が「正しいかどうか」を確かめることは、とても大切です。わたしたちjNaviもメディアとして、正しい情報を発信しなければなりません。
日本では、ウソの情報のことを「デマ」といいます。これまで日本では、どのような「デマ」があったのか、また、人をだます「詐欺」が、どのように行われているのか、このことについてお話します。
日本で「情報」を見たり、聞いたりするときは、「正しいかどうか」確認することを忘れないでください。
日本で本当にあった「デマ」
ケース1「あの銀行は危ない!」
1970年代、日本で本当にあったお話です。ある日、女子高校生が3人で就職先の話をしました。Aさんは金融機関(銀行など)の「〇△銀行」で仕事が決まりましたが、友だちの Bさんが 「金融機関は危ないよ」と冗談(ジョーク)で言いました。
しかし、それを言われたAさんは、本当だと信じて、 家族に 「金融機関は危ないの?」と相談しました。すると、家族は「Aさんの就職先の金融機関(〇△銀行)が危ないのでは」と間違って思いこみ、色々な人に確認しました。
この相談は、すぐに色々な人に伝わり、「〇△銀行は、つぶれてしまう!」という「デマ」に変わり、多くの人が〇△銀行から、お金を引き出す騒ぎになりました。
また、「危ない」というキーワードから、新しいデマが作られて「銀行員がお金を持って逃げた」「銀行の理事長が亡くなった」というデマを人々は信じました。
〇△銀行が「これらのうわさはデマです」と言っても、人々は「銀行はウソをついている!」と思い、信じませんでした。
女子高校生のジョークから始まり、銀行は大きな被害を受けることになりました。
ケース2「トイレットペーパーがなくなる!」
同じく1970年代に日本で本当にあったお話です。当時中東(イスラエルなどの国)では戦争が起きていたため、「原油の価格」が上がりました。これと同時に政府から「紙の節約」を呼びかける発表があると、人々は「トイレットペーパーの紙がなくなる!」と勝手に思い込み、大騒ぎをして、トイレットペーパーをたくさん買う人がいました。
スーパーではトイレットペーパーが無くなってしまい、残っているお店では値段は高くなりました。この価格が上がったことが「新聞」に書かれると、さらにトイレットペーパーを買う人が増えました。
しかし、実際は「原油の価格が上がったこと」と、「トイレットペーパーの不足」は、何も関係がありませんでした。トイレットペーパーは中東の戦争の影響を受けず、きちんと生産されていたのです。
このデマは、誰かが間違って思い込んだ「ウソの情報」が人々に広がり、社会に影響を与えたものでした。このときのことを「トイレットペーパー事件(騒動)」と言い、日本の歴史の教科書にも載っています。
ケース3「ライオンが逃げている!」
2016年、日本の熊本県で地震があったときのことです。ある男性が、ふざけてSNSに「地震のせいで、 動物園からライオンが逃げた 」と投稿しました。
その投稿には「道路にライオンがいる」写真があり、熊本の人は驚き、たくさんシェアをしました。しかし、これは画像を加工して、「ライオンが道路にいる」ように見せたフェイクだったのです。
この投稿は2万回以上リツイートされ、本当のことだと信じた人がたくさんいました。近くの動物園には「ライオンを何とかして!」と問い合わせの電話がたくさん来たため、動物園は大混乱でした。
この「デマ」を流した投稿者の男性は、動物園の仕事を妨害したとして、その後、警察に逮捕されました。
地震が起きた後は、正しい情報と間違っている情報がたくさん出ます。中でも、こうした「デマ」には十分気をつけてください。そして、「本当かな?」と思うことは、SNSですぐにシェアしないようにしましょう。
オレオレ詐欺
「オレオレ詐欺」ということばを聞いたことはありますか。これは日本の社会問題になっている「犯罪」です。これは主に、高齢者をターゲットとし、彼らの子どものふりをして、お金をだまし取ることです。次のような例です。
80才のA子さんは、ある日電話に出ると「オレオレ、オレだけどさ・・」という声がしました。はじめは「だれだろう?」と思ったA子さんですが、男性の声から、自分の息子、「タロウ」だと思い、「タロウか?」と聞くと、電話の相手は「そうだ、タロウだ」と答えました。
電話の相手は「車の事故で、人にケガをさせたので、今すぐ500万円が必要だ」と話し、A子さんにお金を用意して、駅で待っている友だちに渡すように言いました。
A子さんは、急いで銀行に行き、500万円を用意して、駅で待つ「友だち」に渡しました。次の日、「タロウ」を心配に思ったA子さんは、タロウに電話をすると「昨日電話していないよ」と言われました。
「タロウ」と「友だち」のフリをした悪い人が、A子さんからお金を盗んだ事件です。この電話の「オレオレ、」という話し方から「オレオレ詐欺」と呼ばれています。
こうした詐欺は、日本には何万件もあり、被害額は何百億円になると、いわれています。「自分は関係ない」と思わないで、いつ狙われるかも分からない、こうした詐欺には、十分注意してください。
日本は「安全で親切な国」だと思い過ぎてはいけません。また、こうした犯罪を、「いっしょにやろう」と誰かから誘われたら、絶対に断るようにしましょう。
“だまされない”ために
日本では、こうした詐欺をして、警察に捕まる外国人のニュースを、よく目にします。悪い人たちからは「たくさんお金がもらえる」「日本にずっと住めるビザが取れる」と、うれしい話を、あなたに持ってくるでしょう。
しかし、こうした「デマ」や「ウソ」に気づくためには、「すぐに信じない」で落ち着いて判断することが大切です。
本当かどうか、自分では分からないときには、周りの友だちや、日本人の知り合いに確認するようにしましょう。
せっかく、日本を好きになってくれたみなさんには、安心・安全に、日本語を勉強したり、働いたりしてほしいと、心からねがっています。
最後に日本生活で、注意すべきことを書きます。
- あなたの電話番号や住所を、知らない人に教えない。
- 信用できないウェブサイトに個人情報を入力しない。
- 「いますぐ~万円払ってください」という迷惑メールの内容を信じない。
- 「今すぐログインしてください」という迷惑メールの内容を信じない。
あなたの個人情報が1回どこかに流れるだけで、悪い人に知られて、こうした迷惑メールが100件以上、あなたのもとに届きます。
こうしたメールや連絡が届いたら、友だちや会社の人、周りの日本人に必ず相談してください。