今回は日本の「オノマトペ」についてお話します。皆さんは、このことばを知っていますか。「オノマトペ」とはフランス語の”Onomatopee”から来ていて、日本語で表す「音」のことです。たとえば、次の写真を、皆さんどのように説明しますか。
竹から水が流れていますが、その量や、スピードは、どうですか。これを表すのが「オノマトペ」です。この写真ですと、多くの日本人は「”ちょろちょろ“と流れている」と表現するはずです。(ちょろちょろ=ゆっくりと、少ない量)
日本語の「オノマトペ」
日本語は世界の中でも、この「オノマトペ」が、とても多い言語として、知られています。だからこそ、日本語を勉強する人にとっては、覚えるのに苦労するかもしれません。日本の若者や、テレビタレントには、この「オノマトペ」をたくさん使って会話をする様子が、よく見られます。
たとえば、「この間、富士山にいったら、”ザー”って雨が降って、”ビシャビシャ”になったから、”グワー”って急いでお店に入ったら、”ブワー”って、人がいたから、”モワッ”としてた。しばらくしたら、”サー”って雨が引いて、”カンカン”に太陽が出たから、”スタスタ”歩いて山を登ったら、”ゴロゴロ”って雷なって、”スゴスゴ”と帰ったんだ」(「オノマトペ」はカタカナで書きました)”
【解説】ザー・・雨が強くふる、ビシャビシャ・・とてもぬれる、グワー・・いきおいよく流れる、ブワー・・・モノや人であふれる、モワッ・・湿度が高い、サーッ・・いきおいよく流れる、無くなる、カンカン・・太陽が出ている、スタスタ・・歩いている、ゴロゴロ・・雷がなる、スゴスゴ・・おちこんでいる
皆さん、このシチュエーションを、イメージ出来ましたでしょうか。「オノマトペ」は、モノの状況・様子を表すのに、とても便利なワードです。
「オノマトペ」は子どもっぽい?
子供のころに、動物の鳴き声を表すワードが、どの国にもあると思います。日本の場合、イヌのことは”ワンワン”、ネコは ” ニャーニャー ” 、サルは ” ウッキー ” 、ゴリラは”ウホウホ”と表現します。
このように身の回りのあらゆる「音」を表現したのが「オノマトペ」です。 「オノマトペ」は少し子供っぽいと感じるかもしれませんが、大人も使う、りっぱな「日本語」です。 例えば、次の写真を見て、どのように表現しますか。
機関車が“ピカピカ”、”モクモク”、”ゴーッ”と、”ガタンゴトン”、”シュッポシュッポ”と音を立てて、“ズンズン”、”ドンドン”と走っている・・・・ みなさんのイメージした「オノマトペ」と合っていますか?
日本人がいつも使う「オノマトペ」
「オノマトペ」は音だけではなく、様子を表すのにも便利です。例えば、次の文を読んでください。
「見た目がクマに”そっくり”なAさんが、”ピリピリ”していて、理由を聞いたら”しっくり”きた。Bさんとケンカしているそうだ。”ハキハキ”したAさんと、”ゆったり”したBさんとは、性格が合わないはずだ。”うっかり”2人をご飯に、呼ぶところだった。今日は2人とも”バタバタ”していたし、私は家で”まったり”しよう」
【解説】そっくり・・(AとBが)にている、ピリピリ・・怒っている、しっくり・・わかりやすい、ハキハキ・・元気な、ゆったり・・動きがゆっくり、うっかり・・思わず、気づかずに、バタバタ・・いそがしい、まったり・・ゆっくり、リラックスして
病気をしたときに使える「オノマトペ」
また、「オノマトペ」は病気をしたときに、「どのように」痛いか、伝えるために便利なワードです。これを知っていれば、日本で病院に行ったときに役立つはずです。
ここではその例を、いくつか紹介したいと思います。
あたまが痛い・・・ズキズキ & チクチク(頭をさすような)、ガンガン(頭をうたれるような)、クラクラ(立っているのが辛い)
のどが痛い・・ヒリヒリ(しびれる)、イガイガ(つばをのむと痛い)、ゼーゼー(せき を しすぎた)、スースー(かわいている)
肌(はだ)・皮膚(ひふ)が痛い・・ピクピク(けいれんしている)、ボロボロ(荒れている)、ブルブル(さむい、ふるえる)、チクチク(さすような)、ゾワゾワ(鳥肌がたつ)
おなかが痛い・・・ギュルギュル & ゴロゴロ(下痢:げり)、ムカムカ(胃もたれ)、キリキリ&チクチク(さすような)
いかがでしょうか。日本で病院に行くときのアドバイスについては、別記事のこちらをご覧ください。日本で病気やケガをしたら・・・
みなさんも便利な「オノマトペ」を、たくさん覚えてくださいね。