日本にはなぜ「漢字ひらがなカタカナ」があるのか

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日本にはなぜ「漢字ひらがなカタカナ」があるのか

今回は日本語を勉強している人なら、だれでも一度は考えたことがある「日本語の文字」のギモンについて、お話します。

日本語は、「どのように」生まれたのか

どうして日本語は「ひらがな、カタカナ、漢字」を使うのでしょうか。最近ではアルファベット(ABC・・)もよく使うので、4つの種類の文字がある、といえます。

漢字は、生活の中で、よく使われるもので、だいたい「2,000字」もあるので、日本語の勉強をしている人にとっては、とても難しいものだと思います。

最近は日本人の中でも、漢字が読めない、書けない人が増えていて、これはスマートフォンや、コンピューターを使うことで「手で書く」ことが少なくなっていることが原因と言われています。

ひらがな、カタカナ、漢字のちがいとは

日本人が、この3つの種類の文字を、使い分けるのには理由があります。主な理由はこちらです。

ひらがな

日本語を表す基本の文字。日本人は4~5才くらいから、ひらがなの文字を読む、書く練習をはじめます。 ひらがなは、全部で 46文字。

漢字

ひとつの漢字でひらがな約2~3文字分の「読み方」「意味」を持つので、文字の数が少なくなり、文全体が読みやすくなる。例:「わたし(3文字)」→「私(1文字)」

カタカナ

海外から入ってきた「ことば」や「モノ」をカタカナで書くことで、文全体が読みやすくなる。 例「べとなむのしゅとははのい」→「ベトナムの首都はハノイ」

文章例

たとえば、「にわにはにわにわとりがいる」というこの文は、一文字ずつ読まないと、すぐに意味はわかりません。

「にわ には  にわ  にわとり  が  いる」と、スペースをあけたら、少し読みやすいですが、
「庭には二羽ニワトリがいる」という書き方が、いちばん読みやすいです。

このほかにも、「すもももももももものうち、もももすももももものうち」という文は、漢字が無いと、読むのが大変です。
これは「スモモも桃も桃のうち、スモモも桃も桃のうち」という文で漢字を使うと、とても読みやすくなります。

なぜ3種類の文字を使用し続けたのか

どうして、日本はこの3種類の文字を使い続けているのでしょうか、たとえば韓国は漢字を廃止はいしをした歴史があり、今はハングル文字を使っています。
みなさんが知っているように、漢字は昔、中国から伝わってきたもので、その後日本独自の漢字が生まれました。ベトナムも昔漢字があったので、同じ歴史だと思います。

日本では、もともと使れていた日本語を、漢字だけで全て表すことは、出来なかったので、漢字の形を参考にして「ひらがな」が生まれました。

「カタカナ」は、中国の文書、「漢文かんぶん」を日本語で読むために付けられていたマーク、しるしとして生まれました。

これは日本の奈良時代、西暦700年ごろのことです。この時代から今まで、「漢字」と「ひらかな」と「カタカナ」が、いっしょにならんでいる日本語が、1200年も続いています。

日本人と漢字

これまで、日本でも漢字を使うのをやめよう!という人たちがいましたが、長い歴史で、日本人に使われてきた漢字は「ひとつの文化」として大切にされ、今も残ることになっています。

ただし、中国から伝わり、覚えられないほど、たくさんあった漢字は、これまでに何度も、日本の政府せいふによって「みんなが使う漢字」が選ばれ、約2000字の漢字となりました。

みなさんが勉強している漢字も、こうして「選ばれた漢字」を覚えているのです。本当はもっと漢字の数があったと知れば、勉強する気持ちが出てきましたか?

日本人と漢字②

2019年4月、日本の新元号しんげんごうが発表されたことは、知っているでしょうか。日本では、昔からその時代をあらわす「元号」という文化があり、今年から日本は「令和れいわ」の時代がスタートします。

この漢字は「 希望きぼうちた、新しい時代を切り開いていく 」という願いを意味しているのです。

「令」という字は、日本人にとって「命令めいれい」と使われることが多く、「命令を聞け、なんて悪い意味だ」という人もいました。

しかし、1200年前の、日本で最も古い歌集(歌を集めた本)から、「令和」という漢字が、選ばれたことを知ると、日本人は「令和」の漢字の意味を新しく知り、これを好きになる人が多くなりました。

今年生まれる子どもには「令」や「和」の漢字が付く子が増えるかもしれません。

漢字に関する話として、日本には「漢字検定」というテストがあります。このテストは漢字を「読む」「書く」力をみるテストです。日本人は中学校や高校で、この試験を受ける人がたくさんいます。みなさんも興味があれば、ぜひ受けてみてください。

最後に、日本では年末に「今年の漢字」を決めるイベントがあります。これは、「その年のできごとを表す漢字」をみんなで決めるものです。

2018年の「今年の漢字」は「さい」でした。「災」を意味する地震じしんや、台風たいふうのダメージが、日本のたくさんの場所であったからです。

2019年は良い意味の漢字が選ばれるといいですね。 ちなみに2018年からベトナムに住んでいる私はベトナムを意味する「越」を選びたいと思います。

漢字に興味きょうみをもってくれたみなさんも「お気に入りの漢字」を探してみてください。