このシリーズでは、日本のビジネスシーンで良く耳にする「日本語」の解説をします。日本で働き始めるときは、緊張と不安があると思いますが、1つでも多くの日本語を知っていることで、自信につながると思います。
日本人の私から、みなさんに知っておいてほしい「単語」をまとめましたので、意味を理解しておきましょう。
日本語はよく、「省略」した言葉が使われることが多く、これらは日本人の新卒でさえ知らないことも多いです。今回は絶対知っておきたい「基本単語」を解説します。
ビジネスシーンで耳にする日本語
基本の単語
5W1H(ごだぶりゅー・いちえいち)
When(いつ)、 Where(どこで)、 Who(だれが)、 What(何)、Why(なぜ?)、How(どのようにして)の頭文字を取ったフレーズです。報連相のときには、この要素を明確にして話すことを心がけましょう。
例:「部長、今よろしいですか?昨日(When)、A社の鈴木さん(Who)がオフィスにいらっしゃり(Where)、こちら(What)を納品されました。納期に間に合わせるため(Why)、わざわざ車で(How)いらっしゃったそうです。
5S(ごえす)
製造業やサービス業において、職場環境を良く保つために掲げる、スローガンです。5Sは、整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seisou)・清潔(Seiketu)・躾(Situke) の頭文字”S”を取ったものです。
ベトナムの日系企業にも、これを掲げる会社は多くあります。入社したときには、この単語の意味を知っているか、上司から聞かれるかもしれませんので覚えておきましょう。
MTG(ミーティング)
英語の”MEETING” を略したものです。会議、打ち合わせのことです。話しことばでは使いませんが、たとえばメールや社員のスケジュールを共有するホワイトボードなどに「MTG」と書いていることがあります。
OJT(オージェ―ティー)
“On the Job Training” の略です。 企業内で行われるトレーニング手法 の一つで、新入社員育成のプログラム、担当者のことを指します。主に、自分の配属先の先輩社員があなたのトレーニングをしてくれます。この人のことを”OJT”と呼びます。入社して2、3年経てば、あなたが”OJT”になる日が来るかもしれません。
あさいち・ごごいち
あさいち・・朝いちばんに(始業したらすぐに)
ごごいち・・午後いちばんに(昼休みが終わったらすぐに)
例:「グエンさん、明日のあさいちで会議室を予約してください。」
例:「グエンさん、その作成中のレポートをごごいちで、私に提出してください。」
あいみつ
「相見積もり」を省略しています。
これは、複数の業者から見積もりを出してもらい、価格・サービス内容を比較することです。
例:「グエンさん、この工事の件、各社からあいみつ取っておいてください。」
上の者(うえのもの)
会社の上司、管理職、役員を指します。
例:「値下げできるかどうか、上の者に確認します。」
例:「上からの指示ですので、どうかご理解ください。」
落とし込む
「落とす」とは悪い意味に聞こえますが、ビジネスシーンでは「反映する」「まとめる」という意味になります。「~込む」には「完了させる」という意味合いが含まれます。
例:「今日のMTGの内容を、ワードの資料に落とし込んでください」
厳しい/難しい
日本人は、直接的な表現をしません。なので、
「御社に依頼した場合、〇〇を今年中に完成することはできますか?」
「いいえ、できません」
という言い方はビジネスでは使われないことが、ほとんどです。その場合、
「少し、厳しいですね・・」「おそらく、難しいかと思われます」
という言い方を聞くはずです。これは「厳しいけど、難しいけど、がんばったら、できる」という意味ではありません。このことばを聞いたら「できない」と相手が話していると、理解したほうが良いでしょう。
ざっくり
かんたんに、大まかに、の意味。
例:「この見積りについて、ざっくりと、どのくらいコストがかかりますか?」
例:「ざっくりとで構わないので、昨日のMTG内容をメールで報告してください。」
時間が押している
予定の時間よりも過ぎていること。「時間がオーバー(Over)している」とも言います。
例:「会議の時間が押しているので、15時のMTGはキャンセルします。」
大至急
急いで、今すぐに。他にも、ASAP(As soon as possible)「アサップ」と表現することもあります。このことばを聞いたら、「最優先事項」として対応してください。
例:「グエンさん、大至急、A社に連絡をしてください。」
テンパる
気持ちに余裕がなくなり、焦りや不安の状態になること。
例:「グエンさん、テンパっているようですが、どうしましたか。」
例:「さすがの鈴木さんも、仕事が忙しすぎて、テンパっているようだ。」
定時
定まった時刻のこと。始業時間や終業時間を指す。
例:「今日の仕事が終わったので、定時で帰ります。」
巻いて
急いで進めること。
例:「このあと出張に出かけるので、説明は巻きでお願いします。」
例:「セミナーの講演時間が押しているので、私からは、巻いて話しますね。」
省く
省略したり、取り除いたりすること。
例:「この資料は間違いがあるので、ファイルから省いてください。」
例:「会社説明は後ほど話しますので、ここでの説明は省きます。」
前向きに検討する
あなたが営業した先のお客さんがこのことばを使った場合、あなたの会社と「契約するか」「契約しないか」はこの時点で、50%:50%と考えましょう。
本当に契約を考えている場合と、契約を断る場合の、どちらでも使える便利なことばで、先ほどの「厳しい」「難しい」と同様に、意味が分かりにくいことばです。
日本のビジネスシーンでは、相手に対し直接的に「契約しません」と言うことは少ないです。多くの場合、数日後にメールなどで「お断り」されることが一般的です。
営業後の報告で上司に「前向きに検討いただきました!」と報告しても、それは良い報告とは言えないでしょう。
まとめ
辞書や翻訳ツールでは分からない、ビジネス日本語について紹介しました。このシリーズは4つの構成に分かれていますので、全てチェックしてみてください。
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ②~上級編~
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ③~カタカナ基本編~
別記事:ビジネスシーンで耳にする日本語まとめ④~カタカナ上級編~