ビジネスシーン、日常生活の場面において、日本人と二人きりになったとき、あなたなら、何を話しますか?
たとえば、別記事:日本のビジネスマナー失敗談でもお話しましたが、仕事でタクシーに乗ったとき、会社の人と、ずっと何も話さないことは、良いマナーとは言えません。
プライバシーに敏感で、パーソナルスペースが広い日本人との、上手な距離の保ち方、人間関係の作り方について、アドバイスします。
日本人に好まれる質問
個人情報
出身地
- 「〇〇さんは、どちらのご出身ですか」
- 「そこでは、何が有名ですか(食べもの?歴史的な建物?)」
日本人の多くは、生まれ育った「地元」に誇りを持っています。その土地の有名な歴史、食べものについては、だれでも話すことが出来るので、トークテーマとして適切です。これらの質問に答えたくない人はいないはずです。
これまでの経歴・職歴
- 「〇〇さんは、学生時代何をしていましたか?」
- 「〇〇さんは、新卒から今の会社で働いていますか?」
- 「〇〇さんは、どのようにして技術を習得したんですか?」
とくに男性の場合、過去の話をするのが好きだと言われますが、日本人も昔の「武勇伝」(その人の誇らしい、すごかったこと)を話すことが、とても好きです。例えば、
- 昔スポーツの大会で優勝をした
- 昔学校で成績が優秀だった
- 会社で評価され、管理職になった
- 日本ではじめて、△△を作ったのは、〇〇さんだ
こうした答えを導きだすことが出来たら、その人は積極的にあなたと話をしたいと感じます。ここで大切なことは、相手に対するリスペクト(尊敬)を示すことです。「私も、〇〇さんのように、なりたいです」ということが伝われば、あなたに対する評価も上がるはずです。
趣味・特技
日本人の30~60才の男性の多くは、以下のいづれかに興味があります。
- スポーツ観戦
- テレビを観る
- 音楽を聴く
スポーツ観戦は、野球、サッカー、バレーボール、ラグビー、卓球、バドミントン、水泳、これらのスポーツはベトナムにあまり馴染みがないものもありますが、知っておくと会話が盛り上がります。
- 「スポーツは何が好きですか?」
- 「スポーツ観戦に行くことはありますか?」
- 「好きな音楽は何ですか?」
こうした質問から、あなたをスタジアムなどに誘ってくれ、仕事以外のコミュニケーションを取るきっかけになるかもしれません。
最近あったできごと
もっとも自然な会話のひとつとして、「身近なできごと」を話すことはあると思います。たとえば、
- 「今日はさむいですね/あついですね。明日は雨がふるそうですよ。」
- 「この前、△△へ行きました。〇〇さんは行ったことありますか?」
- 「きのう、□□のニュースを観ました。このことを知っていますか?」
こうした会話をすることは、まったく問題はありません。
ここで大切なのは、日本にいる間に、どのようにして情報収集をするかだと思います。インターネットでも、テレビでも、新聞や雑誌でも、日本のことに関する情報は、いつも身近にあるようにしましょう。
そうすることで、あなたの日本に対する「姿勢」が現れ、相手が「もっと日本のことを教えてあげたい」と思ってもらえるはずです。
注意すべき質問
家族のこと
家族について聞くときは、慎重になりましょう。もしかしたら親や兄弟、子どもを亡くしている方がいるかもしれないからです。家族の話をするときは、自分から話をすると良いかもしれません。
あなたの子どもや、親せきの写真を見せ、相手が家族のことを話してくれたら、色々と聞いてもいいと考えましょう。
ただし、「結婚してますか?/彼氏・彼女はいますか?」というプライベートの質問は日本人同士で友だちでないかぎりはしません。「どうして結婚しない?」、「パートナーがいないんですか?」という聞き方は絶対しないようにしましょう。
仕事のこと
仕事以外の場所で、仕事の話をするのが好きなのが「日本人」と考える人は多いかもしれません。しかし、仕事が終わってからも仕事の話をすることは、良い話のテーマであるとは限りません。
相手に「真面目だ」という印象を与えることもあるかもしれませんが、「仕事のON/OFFが切替できない」と思われると、あなたと話したくないと感じるかもしれません。
また、職場以外の場所で、仕事の話をするのは、誰が聞いているか分からない環境であるため、お客さんの会社名、情報などを話すことはやめましょう。
予定・スケジュールのこと
- 「来週はいつお休みですか」/「週末は何をしますか」
- 「今日どこ行きますか」/「明日暇ですか?」
こうした質問は、プライバシーにかかわってくる質問なので、注意が必要です。日本では、仕事のあと、休日を一人で過ごす人が増えてきています。SNSを観たり、1人でレストランでご飯を食べたり、1人でカラオケに行ったり・・・
プライベートの時間を邪魔されたくない、と感じている人は多いです。
あなたが、「相手とどこかに一緒に行きたい」と考え聞くことは問題ありません。しかし、「話すことがないから・・とりあえず聞いてみよう」と思っているのであれば、この質問はおススメしません。
なぜなら、そのあとの会話が長く続かないからです。
- 「週末は家でゆっくりしてるよ」
- 「今日は家に帰るよ」
こうした相手の答えを受け、話を続けられる自信がある人は問題ありません。私はこの答えに対し、話を続ける自信がありません(笑)
国際政治に関する話
どこの国においても、政治に関する話は気をつけるべきです。
日本は、中国、韓国、ロシア、アメリカと領土や歴史問題をめぐって、政治のニュースになることがあります。私が問題視しているのは、ベトナムの日本コミュニティに流れている政治ニュースには、よく誤った情報が書かれていることです。
その国の歴史、国同士の関係をよく知らない人が、日本のニュースをみて、SNSなどで拡散することは、とても危険です。
たとえば、日本と韓国の政治関係が良くないという話をしたとき、どちらかの国が悪い、と考えて話してしまうと、相手は親や親族、配偶者が韓国籍の場合もありますので、その人を否定しかねないのです。
日本には、中国や韓国にルーツを持つ人がたくさんいます。こうしたアイデンティティを持つ日本人に対して、話す内容には気をつけましょう。もしこうした話をしたい場合は、あなたの意見を先に伝えず、「この問題についてどう思いますか」と、まずは相手の意見を聞くことが大切でしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。大切なことは、自然な「会話のキャッチボール」( 日本では意見交換のこと、野球にたとえて、こう呼びます。)をすることです。
質問をするだけでなく、あなたのことを話すことも、大切なことです。しかし、自分の話ばかりをしても良くありませんので、1:3(あなたの話:相手の話)くらいの割合で、相手のことを聞くコミュニケーションを心がけましょう。(これは日本語に限らないことですね。)
こうしたコミュニケーションにおいて、自然な「あいづち」は
- そうですか。
- すごいですね。
- 大変ですね。
- 勉強になります。
- 知りませんでした。
このようなものが、よく使われます。
下の「あいづち」は相手に悪い印象を与えるので、使わないように気をつけてください。
- なるほどです。(なるほど、は敬語ではありません)
- へー、そうですか。(へー、あー、などは、目上の人に対して失礼なので、ビジネス上使うべきではありません。)
日本人とのコミュニケーションに悩む人も、これからコミュニケーションする機会がある人も参考になればうれしいです。